大腸カメラ
(下部消化管内視鏡検査)について

大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)について

大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)は、肛門から内視鏡を挿入して、直腸から盲腸までの大腸の内部を観察するものです。大腸は長く曲がりくねっているため、大腸カメラは胃カメラに比較し、スコープのチューブを柔らかくしたり硬くしたりできるなど、スムーズに、なるべく苦痛が少なく検査ができるように工夫されています。また当院では、胃カメラ同様、セデーション(鎮静剤)を使用して、眠っている間に検査を行うことも可能です。

日本では大腸癌が非常に増加しています。これは食生活の欧米化などに原因があると考えられていますが、2019年の統計では死亡数の多い癌の部位で、女性で1位、男性で3位となっています。しかし初期の大腸癌は、内視鏡手術で切除できる可能性が高く、早期発見により、早期に治療されれば、治癒する確率も高くなります。アメリカでは、大腸カメラを受ける方が多い事から、日本より明らかに大腸癌が減っています。

また大腸癌と大腸ポリープは密接な関係にあります。大腸カメラの検査によりポリープが発見された場合は、その状態によっては検査時に同時に切除してしまうことが可能で、大腸癌の予防につなげることができます。ポリープは40代から増え始めて、加齢とともにできやすくなる傾向にありますが、ポリープに自覚症状はありません。ですので、定期的に大腸カメラによる検査をすることが、大腸癌予防には有効です。

ポリープ切除について

大腸ポリープの多くは腺腫もしくは、過形成性ポリープです。胃底腺ポリープや胃の過形成性ポリープに比べると、癌化するリスクは高いです。当院では大腸内視鏡検査でポリープが発見された場合、基本的にはその場で切除する方針を取っております。癌の中でも大腸癌は、ポリープの段階で切除することにより、予防できる癌といえます。
また、腫瘍が大きく、より高度な内視鏡治療や手術を要する場合は、高度施設への紹介を行って参ります。

以下の症状のある場合などは、大腸カメラによる検査をお勧めします。

  • 便潜血反応で「陽性」との診断を受けた
  • 血便がみられている
  • 便秘や下痢などの便通異常の症状がある
  • 腹痛、腹部膨満感がある
  • 貧血を指摘されている
  • よく顔色が悪いと言われる
  • 急激な体重減少があった
  • 大腸ポリープや大腸癌を治療した経験がある など

大腸カメラでは、以下のような疾患の確認ができます。

  • 大腸ポリープ
  • 大腸癌
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
  • 大腸憩室症
  • 虚血性腸炎 など

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の流れ

大腸カメラは、下剤を飲んでいただき、腸内をきれいにしておくなど、事前の準備が必要な検査です。また、事前の診察が必要となりますので、まずは予約していただき、その際に詳細な流れをご説明いたします。

検査につきましては、医師または、看護師が丁寧に説明いたしますので、疑問点があればご遠慮なくお問い合わせください。また服用中の薬があればお知らせください。

※抗凝固薬や抗血小板薬(血液をさらさらにする薬)を内服している方は、検査予約時にお知らせください。また糖尿病で血糖降下薬の内服や、インスリンの皮下注射をされている方は、当日は内服、注射を控えていただく場合があります。

検査前日まで

  • 検査予定日の3日前から繊維を多く含む食べ物(※)をなるべく避け、水分を多めにとるようにしてください。アルコールもなるべく控えるようにしていただきます。
  • 前日は検査予約時に購入していただく検査食をとるようにしてください。(検査食以外の食事はとらないでください。お水、お茶などは飲んで構いません)
  • 検査予約時にお渡しする下剤を就寝前に内服してください。

※)3日前からは以下のような食べ物をお控えください。/タケノコ、トウモロコシ、ネギ、パイナップルなどの繊維の硬いもの。ゴマ、ピーナッツ、イチゴ、トマトなどの粒状のもの。ミカン、トマトの薄皮。わかめ、ヒジキ、海苔などの海藻類。シイタケ、エノキ、シメジなどのキノコ類。

検査当日

  • 朝食はとらないようにします。お水、お茶などは飲んで構いません(ただし無糖のもの)。
  • 朝、下剤を飲んでいただき、その後、水またはお茶を飲んで(ただし無糖のもの)、排便し、腸内をきれいな状態にしていただきます。
  • 服用している薬があれば、当日朝6時までに服用してください(基本的に医師の指示があれば、それに従ってください)。

検査自体の流れ

1.鎮静剤(セデーション)の投与
事前の準備が調ったら、検査衣に着替え、検査台に横になっていただきます。セデーション(鎮静剤)を用いる場合は、ここで投与します。
2.検査開始
内視鏡を肛門から挿入していきます。検査中は体の向きを変えたりすることがあります。
3.腸管内部を観察
内視鏡によって撮影された映像はモニタを通して医師が確認、結腸や直腸などの内腔に病変がないかなどを確認していきます。
4.生検およびポリープ切除
疑わしい組織があった場合は内視鏡で一部を採取し、顕微鏡で詳細を調べていきます(生検)。またポリープがあり、切除可能な場合は切除します。
5.検査終了
大腸の内腔を一通り観察すれば検査は終了です。検査時間は観察のみなら10-15分程度です。

・セデーションによる検査を行った場合は、1時間ほど院内で休息していただきます。
・休息後、検査後の注意事項をお伝えします。行った処置によって内容が異なります。

※ポリープを切除した場合は、出血する可能性もありますので、術後1週間は注意し、安静にするようにします。詳しくは医師の指示に従ってください